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玄海樓店主のきまぐれなひとこと
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昨日のつづきですが、


「雅」への憧れについて述べました。

今日は古筆に拘る訳をお話ししたいと思います。


平安期の「書の美しさ」については
国文学の先生方をはじめ、書道家や研究家の方々が既に執筆されたり
発表なさったりしておられますので、あえて踏み込んでは申しません。



私が今のこの業界に入り早21年が経とうとしております。

さるバブル期も経験し、またその後の落ち込みも経験しております。

同業の方々は一喜一憂なさる方もおられましたが、
老舗の大棚はビクともしない方もおられました。

昭和63年頃というと、何でも売れ、またそれが高値となるという
今思うと異常な現象が起きていました。


新画・新陶と呼ばれる明治以降の作家の作品は
ちょうどその頃価格はピークを迎えていました。

ただ、もっと古い古書画や古陶磁も今と違って多数市場に出てきていましたし、
佳い品は同様に高値で取引されておりました。


私はその当時、修行の身であった訳ですが
洋画や古代の土器が好きで安いものですがちょくちょく集めていました。


勿論修行していた店での扱い品、また交換会に出た折の目にした品々は
自分なりに学んできたつもりです。


それで判明したこと、・・・それは


様々な種類の美術品がある中でも解り易くいうと


「立体」・・・陶磁器や彫刻、工芸品など

「平面」・・・書画・版画など


の2つに大きく分かれると思います。



これはあくまで私の見方で、あえて安易に申し上げますが
「立体物」は見た目だけでなく、素材や肌合い、時代によって変遷してゆくデータを
頭に叩き込めば比較的判り易いものであろうと思います。


「平面物」は見た目が肝心ですが、そこに何が書かれ(描かれ)てあるかが
一番重要となります。


内容が解らなければ、それを理解したとはいえません。

「画」については何かと非常に難しい分野ではありますが、
まだ描かれてあるものが何であるか推測がつきますし、出来不出来も判断しやすいものです。



ただ「書」というものは
まず詠めなければなりません。

誰が何を、何時頃、どういう時に、どうやって、
どのようなものに、どのような道具で、書いたのか・・・。


此処に至った訳です。


「内容」についてはまず故事から文学まで幅広い教養を要します。

絵具も難しいですが、「墨」は更に難を極めます。

時代を経ると料紙に載った墨は僅かではありますが、変化を起こします。

「筆」によっても書き味が変わって来ます。


「料紙」については時代によって紙の繊維や目が違います。

この業界ではあまり取り沙汰する方がおられませんが、
料紙の時代だけでモノの判断がつく場合があります。

作者の名だけでなく、作製時代や置かれた環境も知らなければなりません。


また作者によっては「書風」が大きく違ってくる人もあります。



それらを総合してみて、
最も難しく、最も高尚な分野が


「古筆」


であった訳です。


王朝文化の凝縮ともいえる 「 古 筆 」 は

日本が誇る 最 高 の 美 といってよいでしょう。

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