10/07/2012 19:58 No.103 命

10/07/2012 19:58

No.103

命

「めい」ではなく、


「いのち」である。




人間の命は尊く、


現代では、何よりも優先されがち。



死刑の是非を問うのではなく、


罪を憎んで・・・とも言う。



かといって、


未だ紛争続きの国や地域があるのも


また事実である。



花の命は短く・・・なんて事も言うが、


短いからこそ


その美しさが際立ち、


価値ある「ひととき」なのである。



しかし、その美しさを


生み出すために、


芽を出し、光を一杯に浴び、


水や養分を蓄え、


結果、


開き、


称えられる。



古来より、


和歌の世界では


「花」といえば


ほとんどの場合


「桜」を


指す。




春を象徴するそれは、


一斉に見事に開花し、


またその時期も一時で


散り際がこれまた美しい。



様々な比喩にも用いられる。



短命の歴史的人物。



これもまた


功績があればある程


称えられ、賛美される。



一方、


長寿を全うし


世俗での栄誉を手にし、


あらゆる分野にからんだ人物は


亡くなった後


あまりよく言われないのは


何故であろう。




とはいうものの、


自ら命を絶つのはよくない。



現代の常識、認識においては。



生きたくても生きられなかった、


そんな人は大勢いる。




先日から


年輩だけでなく、


知人の訃報を相次いで聞いた。




中には


４０歳という


当方よりも年下の人までいた。




健康第一。


強運を身につけよう。



天運、宿命は


後で解るものである。




昔、随分と若い折に


「自分は４２歳で人生を終える。それまでにやりたい事は全て終えておく。」


などと、


笑えない、不可解な言葉を発していた。



何とも無知な言葉であったが、



あと約一か月で


４３歳となる。




これまでに


叶えられてきた事はほんの僅かであり、


何一つ


自分自身の努力で


実った、勝ち取った事は


無いように思う。




それだけに歯痒く、悔しく、


己の愚かさだけが


身に染みている。




誰かを本気で救っただろうか。


誰かを心底感動させたであろうか。


誰かに心から感謝されたであろうか。




いや、誰かではない、


自分自身の問題である。



これまでは


比較的色んな事を楽観視しながら


生きてきたように思う。




あくまで、


自分においての


体力の衰えや


近くの小さなものが


少しずつ見えにくくなってきている事も



その思いを助長させる。




限りあるこの命を


大いに活かし、


納得ゆく、


満足ゆく、


そういう人生にしてみたい、



そう思って止まない。




永遠、というものに


憧れ、


それに魅かれる自分がいる。




それは


完全なるもの故、


決して消える事のない


魅力であり、


その方向に向いている。




輪廻転生、というものは


確かにあるだろうし、


前世の記憶や


縁、といったものも


あるのかもしれない。




であるからこそ、


この現世で、


この限られた日々の中で、


命の尊さや偉大さ、


またその切なさや儚さ、



それを


今の自分が


身体の芯まで、


感じ得ているのである。




いい作品を観たい。



感動したい。



肌で、


心で、


身体全体で、



それを


受け止めたい、




今、まさに、



そう思っている。