02/16/2009 18:13 No.18 交換会の話

02/16/2009 18:13

No.18

交換会の話

我々美術商が仕入だけでなく
評価の高い業者へ品を卸したり、
資金を回転させるのにも不可欠な

「交換会」というものがあります。

いわゆる一般に知られている

「オークション」

というものです。

内訳には大きく
「一般人参加型」
と
「業者・会員型」
と二つに分かれます。

「一般参加型」は
参加されたことのある方はご存知でしょうから、

業者間のオークションについてお話しします。


我々が商いをしてゆくのには
「仕入」というものが最大のポイントになります。

例えいいお客様がいらっしゃっても
いいものが無くては話になりません。

同時に、仮に資力がたくさんあって
いい品をとにかく買うから、といって
品物を回してもらったとしても、

同業者からの信頼や交際力も大事です。

いい品を安く買うにはどうしたらいいか。

それは「ウブ出し」と呼ばれる
お蔵から出てきたばかりの品物を手に入れるのが
一番かもしれません。

しかし、「ウブ出し」には専門の方もおられ、
そう容易くはいきません。

その「ウブ出し」業者の方々が
出入りされるオークションがあるのです。

そこで我々はいいものを求めて
全国各地の会へ出掛けるのです。

会には様々な業者の方が来られています。

出品して売るだけの方もおられますし
買う一方の買い手もおられます。


自分の品を売って
新たな仕入をする。

「交換会」と呼ばれるのには
こんな理由があるのです。


買ってばかりでは資金はすぐ底をつきます。
（大棚は例外です）
在庫を多数抱えても

中には自分の所では小売できないもの、
原価ばかり高くてなかなか売れないもの、

そんな品を出来るだけ高く売り、
またお客様に喜んで戴けるだろう品を
新たに仕入するのです。


また同じ品でも
自分より他の業者の方が高く評価する場合があります。

逆も然りです。

そういった差があるおかげで
交換会で儲かることもあるし、
大損することもあって
面白いのです。


「何が出てくるか解らない」
「これはひょっとして」
「まさかこんなシロモノが」
「またこれが出て来た」

などと一喜一憂したり
随分と楽しいものです。


私なぞは
行く度に楽しい反面、資金繰りの辛さや
もどかしさをいつも感じるのですが、

前もって下見ができる会はともかく
一日「出し売り」と呼ばれる風呂敷から
いきなり出てくる会に居ますと

本当に疲れます。

一幅一幅気を入れてみることは
若い時（２０代）と違い、
疲労が積もります。
（出品全てに気を入れる訳ではないですが）

それで最近マッサージの回数が
異常に多いことも事実です。


反れましたが
仮に１日一つの会で４００本ほどの掛け物を見たとしましょう。
これが１ヶ月１０回ほど出向いたとして４０００本、
１２ヶ月で４８，０００本、２０年で９６０，０００本、

これほど掛け物を見ている訳です。

中には重複しているものもありますが、
２１年間で掛け物だけでもこれぐらいは眼にしている筈です。
況や古美術品全体となると・・・。

記憶に残っているものもあれば
全く覚えがないものもあります。


それでも
行く度にワクワクして、
今日は何が見られるだろう、買えるだろう、
などと期待を膨らませ

あちこち交換会へ出掛けるのです。