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玄海樓店主のきまぐれなひとこと
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本日七月七日は「七夕」。


中国にも牽牛と織女の話があります。


当方が毎日のように利用している

京阪電車。


交野(かたの)に伝わる七夕伝説があるそうです。



ところで、七夕といえば「短冊」。



実をいいますと

当方では古筆切だけでなく、

「短冊」にもかなりの力を注いでおります。



この業界では

割に余技的な扱いを受けるようではありますが、

いや、なんの、


古筆切が圧倒的に伝承筆者でしかないのに比べ、

短冊は直筆なのです。

本人自筆なのです。


この価値観は

他の筆跡類と比べても

独特なもので、

収集しやすい、廉価である、網羅しやすい、

などというように

一つのコレクションワールドといえます。



昔から「短冊収集家」なる人は

意外と多く存在しています。



その収集に

当方もまだ勤めている時分から

その魅力にとりつかれ、


いつの日か

自分なりの収集をしてみよう、と

思った程でした。



実際、商売を自分で始めてから

なかなかそうもいかず、

置いておきたい品から

売ってゆかねばならず、

これまでに

無数ともいえる短冊群を

商って参りました。


その中には

珍短冊ともいえるものや

二枚目が商えるだろうか、といったもの、

名品といえる短冊もありました。



ご存知の方には申し訳ありませんが、


まず、天皇陛下の宸筆短冊には

署名はありません。

題書があって、署名無し、または

題書がなくても署名無し、かつ一行目と二行目の

文字は同じ高さです。


二行目の文字が下がる、いわゆる段が下がっていれば

古歌の短冊です。

これは天皇だけでなくとも短冊全体にいえます。


女人は半字下がり、

裏に署名があることもあります。



ただし、例外もあるのです。

例えば、豊臣秀頼。

彼の筆跡短冊には

勿論自詠の歌もありますが、

どういう訳か

古歌で段下がり、それでいて

署名がある短冊が存在しています。



「それは単に贋物短冊では」

そうおっしゃる方もおられるでしょう。


しかし、現に存在しています。

他にも戦国武将や大名の短冊には

このような場合があります。



単に、「贋物」だけで片付けられない短冊が

存在しています。


今回は「戦国」に限ってみてみましょう。


戦に明け暮れたその時代。

歌会などできる訳が・・・、

とお考えの方もおられる筈。


ところが、

この時代、意外に連歌や和歌の会が

公卿達と共に沢山行われています。


(ただし、お茶会も・・・と思われるでしょうが、それはずっと後の事です)


その折、臨席した大名や武将達は

公卿に負けじと詠み、短冊を書いているのですが、

ここで肝心なのは、


消息や文書同様、

「右筆」と呼ばれる人々がいる事がいる事を忘れてはいけません。


執筆とも呼ばれ、側近の秘書役、文官、

解りやすくいうと、代筆者です。


いつもいつも本人が直筆で書くと思ったら

大間違いなのです。



そういう事から

短冊の筆跡には

年齢の老若に関係なく、

書風や書体に大きな違いが出てくる事になるのです。



ですから、

例えば有名な短冊手鑑や短冊帖、

出版されている短冊の影印などで

筆跡を合わせたとしても、


この短冊とは

「筆跡が違う」、

と一概にはいえないのです。


ましてや、

人によっては右筆が何人もいる、

なんて事がありますから

尚更です。



確かに短冊には「贋物」が沢山あり、

観る人を惑わし、また困らせます。


しかし、無数ともいえる古人達が

その自筆かどうかはおいておき、

書いてこられた「短冊」に



限りない魅力と


底知れぬ深さを


感じられずにはいられないのです。



その人、その人、


それぞれの生き方や書き方、

どういう環境であったか、


そういった事も

それぞれをいちいち踏まえ、

理解、ものにしてこそ、


多少鑑定できるかな、


といったところです。



奥は深すぎます。


たかが、少々かじったくらいでは


解っているとは


決して言えませんね。
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